国分寺のディープな魅力を再発見!市民主催のまち歩きイベント「ぶんぶんウォーク」
【カフェスロー】【カフェローカル】吉岡淳さん
【めぐるまち国分寺】高浜洋平さん

目次
国分寺市全域で取り組む、市民による市民のためのイベント
国分寺市の南側に位置するカフェやギャラリーのオーナー有志の発案で、2011年(平成23年)に始まった「ぶんぶんウォーク」は、まち歩きを楽しむことで国分寺の良さを改めて知ることができるイベントです。現在、その活動は国分寺市全域に広がり、期間中は市内約100カ所で約200もの企画が行われる大きな取り組みとなっています。

お鷹の道・真姿の池湧水群をはじめ、国分寺の魅力ある場所にコンテンツを散りばめている
「ぶんぶんウォーク」は「国分寺再発見 みんなの足あと つけにいこう」をスローガンに毎年秋に行われ、市内の飲食店や市民を中心とした実行委員会が運営しています。国分寺の地場農畜産物「こくベジ」生産者との交流が楽しめる直売所を巡るツアーや、クラフト作家が自分の作品を販売する「クラフトビレッジ」、国分寺市とNPOマルイスの協働事業の講座「こくぶんじカレッジ(通称:こくカレ)」の活動や発表の場など、それぞれにテーマを持つ「タウン」と呼ばれるエリアを中心に、活動に賛同した多くの店舗や施設などが拠点となり、さまざまな催しを企画。国分寺市共催のもと多くの企業が「ぶんぶんサポーターズ」として参画し、毎年2~3万人が訪れる地域をあげての一大イベントです。

「ぶんぶんウォーク」にはさまざまなエリアや拠点が点在。まち歩きを楽しむことで新たな国分寺の魅力に気づくきっかけに
「カフェスロー」の前で開かれた「スロータウン」の様子
親子で遊べるコンテンツを用意した「親子タウン」や「bookタウン」、「アートタウン」や「史跡湧水タウン」など、ワークショップやショップを点在させることで国分寺を歩く楽しさを伝えている
ピクニックタウンで行われたワークショップ「みんなで咲かせる!手形アートフラワー」の様子
期間中は市内全域に点在する「ぶんぶん拠点」、複数の「タウン」を巡る「ぶんぶんクイズラリー」を実施し、訪れた場所に応じて記念品や景品がもらえるなど、まち巡りを楽しむ工夫も満載です。国分寺の魅力がぎゅっとつまった「ぶんぶんウォーク」で、ぜひまちの魅力に触れてみてください。
「ぶんぶんウォーク2025」の詳細はこちらから
https://www.bunbunwalk.com/
市民ならではつながりと発信力で、新たなまちの魅力にスポットを当てる「ぶんぶんウォーク」
「ぶんぶんウォーク」の中核を担うのは、国分寺を代表するカフェ「カフェスロー」や「カフェローカル」オーナーの吉岡淳さんと、国分寺市の水と緑の史跡エリアにある「史跡の駅 おたカフェ」の管理・運営を行う「NPO法人めぐるまち国分寺」代表理事の高浜洋平さん。吉岡さんは実行委員長、高浜さんは事務局長を務めています。今回は、そんなお2人に「ぶんぶんウォーク」誕生の経緯や、イベント発足から15年間での活動の広がりなどについて伺いました。

「カフェスロー」オーナーの吉岡淳さん
吉岡さん:「『ぶんぶんウォーク』を始めた2011年(平成23年)は、「カフェスロー」や「クルミドコーヒー」、「史跡の駅 おたカフェ」など、国分寺の南側にカフェが次々と開店した頃です。地域の仲間として近隣の店舗同士のつながりが強く、せっかく特色あるお店や魅力的なギャラリーがたくさんある環境なのだから、ギャラリーウォークのようなことができないかと考えたのが最初のきっかけでした。加えて、地域通貨『ぶんじ』を積極的に使用できるような場を作ることで、地域の活性化につなげたいという思いもありました」
高浜さん:「もうひとつのきっかけは、都立武蔵国分寺公園の管理主体が東京都公園協会からNPO birthを含めた民間の事業体になったことです。民間の力を活用していく流れの中で、公園も含めて国分寺の豊かな公共空間を活かせるようなイベントにしたいと思い立ち、吉岡さんのギャラリーウォークの発想から、もっと広域な意味を持たせて”まち歩き”にしたらいいのではないかと企画が広がりました」
まずは初期メンバー10人ほどで立ち上げ準部のための打ち合わせを重ね、イベントのコンセプトや骨子を策定。市に共催を依頼し、公民館やホールなどの無償提供や広報誌での積極的な告知などの協力を得ることで、できるだけお金をかけずに開催する方法を模索したとか。国分寺にゆかりのある企業へのスポンサー協力依頼など、自分たちで知恵を出し合って一から準備を進めたといいます。
毎年開催月の4~5カ月ほど前から賛同者に声をかけ、一緒にその年の企画を膨らませるところからスタート。月に一度は集まり、イベントで使用するフラッグやフライヤー、子どもたちへの配布物などを共同制作
「ぶんぶんウォーク」の大きなテーマの一つが「国分寺再発見」。この取り組みには、新たに国分寺を訪れる人はもちろん、すでに国分寺に馴染みのある人たちにも改めて国分寺の魅力を知ってほしいという思いがあるそうです。またイベントを通して、国分寺に住む個性豊かな住民同士につながりが生まれ、そこからまた新しい取り組みにつながっていくことにも、大きな魅力を感じているといいます。
高浜さん:「国分寺は都心に近いのに程よくローカルで、個店がイキイキしているまち。そのためか個性的でユニークな人や場所、取り組みがたくさん存在しているのに、なかなか表だって知ってもらう機会が少ないので、『ぶんぶんウォーク』では、そういうものにスポットを当てたいと考えていました。店舗や人材が点とするならば、歩き回ることで点と点が結ばれて線になってつながり、さまざまな化学反応が起こるのではないか?という期待もありました。さらに、同時多発的に賑やかなイベントを行うことで、まちとして来訪者をもてなすことができます」
吉岡さん:「世界的な建築家や人類学者、教育・保育評論家など、挙げればキリがないほど、国分寺はまさに人材の宝庫。『ぶんぶんウォーク』を通して、国分寺在住の素晴らしい人材を認知するきっかけになり、こういったつながりが『こくカレ』などの市の取り組みにも広がっているのは嬉しい限りです」

国分寺駅前に設置した案内所は東京経済大学の学生がボランティアで担当
高浜さん:「これまでの14年間で、さまざまな方にご協力いただき、たくさんのつながりが生まれています。まちのために共に活動することで醸成されるコミュニティや仲間意識が、この取り組みの大きな魅力のひとつですね。例えば、歴史やアートをテーマに別のイベントを立ち上げるとすると、『ぶんぶんウォーク』のつながりですぐに実現できてしまうんです。そういった意味で、『ぶんぶんウォーク』は、この地域のアキレス腱のような重要な存在になりつつあると感じています。また、実行委員のメンバーの引越しなどがきっかけとなり、他地域とのつながりが生まれているところも嬉しい点です」
「ぶんぶんウォーク」は社会実験の場!より良いまちづくりを市民の手で
天候不良で休止を余儀なくされた2000年(平成12年)以外、コロナ禍でも開催を続けてきた『ぶんぶんウォーク』。これまでもさまざまなユニークな企画や国分寺の魅力の再発見につながるイベントを考案してきました。

世界中が「自粛」ムード一色だったコロナ禍にも、「こんな時こそ顔を合わせての交流や人とのつながりを大事にしたい」との思いから、「ぶんぶんウォーク」ならぬ「ぶんさんウォーク」を開催。地域のありがたみを再発見できる貴重な機会に。写真はぶんさんウォーク拠点クイズの様子

ぶんさんウォークの拠点に掲げたフラッグ
吉岡さん:「2011年(平成23年)から4年間、『ぶん馬車』と名付けて9人乗りの馬車を走らせたことがあります。やってきたのはオランダ王室の馬で、坂の多い国分寺をゆっくりと練り歩く馬車は人気を集めました。『ぶんぶんウォーク』は、どこか社会実験の場といった意味も持ち合わせていて、突拍子もないアイデアでも実践してみる貴重な機会になっています」

ぶん馬車プロジェクトの様子
高浜さん:「市の共催があるからこそ、道路や広場などの公共空間の特別な活用が可能になり、さまざまな実験的取り組みができることは、このイベントの大きな魅力ですね。その結果をふまえて、現実的に実装可能かどうかを判断していくやり方は、タクティカルアーバニズムという新しいまち作りの手法でもあります」
吉岡さん:「国分寺の南側のカフェやギャラリーの店主が自分の思いを披露し合っていた小規模な集まりから、少しずつ賛同者が増え、いつの間にか国分寺市全域に活動の輪が広がり、別の場所で企画された取り組みとのつながりも次々に生まれています。『こくカレ』から誕生した音楽イベント『こくフェス』は、今や国分寺の一大イベントとなり、『ぶんぶんウォーク』にもなくてはならない存在となっています」
こくフェスについてはこちら
https://www.kokufes.com/
高浜さん:「国分寺にはたくさんの農家がいて直売所も多く点在していますが、顔を合わせて交流できる機会はなかなかありませんでした。そこで『ぶんぶんウォーク』では、美味しい地場産農畜産物にスポットを当て、期間中に地域の飲食店にそれらを使った特別メニューを考案・提供してもらう取り組みを続けてきました。JA東京むさし国分寺支店や商工会、観光協会などにも尽力してもらったその取り組みは、国分寺の農畜産物を『こくベジ』の愛称でブランディングし、『こくベジ』を使ったメニューを提供する飲食店をPRする『こくベジプロジェクト』へと発展しました。いつでもまちの飲食店で『こくベジ』のメニューを食べられる環境が整ったことには感慨もひとしおです。この企画もまた、実験的な取り組みが実を結んだ結果なんです」
「ぶんぶんウォーク」で地場野菜を取り上げたことが、国分寺市の「こくベジプロジェクト」発足のきっかけに
こくベジについてはこちら
https://kokuvege.jp
市民発案のさまざまな企画が結実し、行政とも協力して大きなプロジェクトへと発展していくことに大きなやりがいを感じているというお2人。住人だからこそ知る”隠れた国分寺の魅力”にスポットが当たることが何よりも嬉しいといいます。そんなお2人にとって「ぶんぶんウォーク」とはどのような存在なのでしょうか。
高浜さん:「国分寺に住んでいるからこそ生まれる『こうしたらもっとまちが良くなるのではないか』という仮説を、実験的に行動に移すことができる場です。もしその取り組みが効果的なものであれば実装につながっていく、いわば地域活動や人材の苗床のような存在だと思います」

ピクニックタウンの様子
吉岡さん:「まちに血を流す取り組みですね。ただ通り過ぎるのではなく『歩く』ことでの循環もさることながら、老いも若きも実行委員かどうかも無関係に、国分寺を愛する人たちが血の通った交流をする場でもあります。まちづくりには長期的な視点が必要不可欠ですが、『ぶんぶんウォーク』は、より良い国分寺をつくり上げていくための『発信の場』だと考えています」
発足から15年という節目を迎え、現在は若手や新しいメンバーを鋭意募集中だそう。新しいチャレンジや企画をしたい方はぜひ連絡してみてください。
スポット等詳細情報
ぶんぶんウォーク実行委員会事務局
電話:090-8114-7750
URL:http://bunbunwalk.com/
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